出産という大きなイベントを乗り越えたママの身体と心は想像以上にボロボロです。しかし現代は、周りに頼れる人がいない家庭も多く退院後はママが一人で頑張りすぎるケースが増えています。産後ケアサービスを活用し、無理のない育児生活を送ってほしいと願います。
産後ケアとは

産後ケアとは、出産後に大きなダメージを受けたママの身体と赤ちゃんのお世話をすることです。
現代は、母子共に問題がなければ約1週間程で退院し、自宅に戻ると通常の家事に加えて慣れない赤ちゃんのお世話が始まります。また、最近では親元から離れて暮らしている核家族の増加や、両親の高齢化で育児を頼れなかったりする背景があります。 ママは家事、育児共に全部一人で抱え込みがちです。
そんな状況では産後の身体の回復も遅れ、赤ちゃんのお世話にも影響が出てしまいます。 ママが少しでも早く回復できるように身体を休め、赤ちゃんとの生活リズムを掴むようにサポートすることが産後ケアの役割です。
産後ケアの必要性

産後ケアはなぜ必要なのでしょうか。解説していきます。
産後ママの体調回復
出産後の身体のダメージは、全治2か月の負傷同等と言われています。加えて出産後は女性ホルモンの急激な低下が起きています。女性ホルモンが急激に低下すると、自律神経が乱れ自分の心と身体をコントロールするのが難しくなります。 そんな状態で、24時間の育児に加え、家事もママが一人で頑張ってしまうと産後の体調回復も遅れてしまいます。
家族支援の不足
一昔前までは、子供が生まれれば同居する家族や、親戚やご近所さんと協力し合い子育てをするのが一般的でした。 しかし、核家族が増加し、両親の高齢化、近隣住民とのコミュニティも希薄となった現代では、育児に対する家族支援が不足しています。気軽に相談できる相手が居ないので、ママが孤独に子育てをして精神的にも余裕がなくなってしまう現状があります。
育児指導
産後、病院で1週間程度の入院では赤ちゃんとの生活リズムを掴みにくいです。産後ケアは、助産師など育児のプロが常駐しているので、沐浴指導や授乳サポート、赤ちゃんのお世話全般をすぐに相談できる環境が整っています。初めての育児なら尚更不安がいっぱいですよね。不安や分からない事を解決しておくことで、その後の育児生活も安心して過ごすことができます。
産後ケア事業には自治体と民間のものがある
産後ケア事業は、平成26年に国が本格的に制度を整え、今ではほとんどの自治体が地域の病院や助産院と提携して産後ケア事業を行なっています。
また、最近では民間が主体となって運営している産後ケアホテルや、産後ドゥーラなどもとても充実しています。それぞれの特徴を知って、自分のライフスタイルに合うものを選び無理のない育児生活を送ってほしいと思います。
自治体の産後ケアの種類
内閣府が展開している「産後ケア事業ガイドライン」に記載があるのは、宿泊型、通い型、訪問型になります。 実施主体は市区町村となるのでお住まいの地域によって内容が異なります。
(例えば対象者を産後4ヶ月未満としている地域もあれば、生後1年未満としている地域もあります。)
また、実施していない地域もあります。「お住まいの地域 産後ケア」で検索してみるといいでしょう。 ここでは、横浜市を例に解説していきます。
産前産後ヘルパー派遣や、幼児一時預かり事業を実施している自治体も多くあります。 ママの用途に合わせて、選んでいただくといいでしょう。
宿泊(ショートステイ)型
自治体が提携している病院や助産院に宿泊し、ママと赤ちゃんがケアを受けるスタイルです。
ケアの内容
・お母さんのケア 健康管理や乳房ケアなど
・赤ちゃんのケア 発育や発達のチェック、体重や排便のチェックなど
・育児の指導、相談 授乳や沐浴方法、育児相談など
対象者
以下の条件全てに該当するお母さんと赤ちゃんが対象です。 事前にお住いの区役所の保健師や助産師が面接や家庭訪問等でご心配なことを伺ったうえで、区役所が利用調整を行います。
・横浜市内に住所を有する産後4か月未満の方(早産児は出産予定日を基準にして4か月未満まで)
・産後に心身の不調や育児不安がある方
・サービス利用時に母子ともに治療中の疾患がない方(※)
※通院服薬のみの場合は、利用できる場合がありますので、ご相談ください。
サービスの内容
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/oyakokenko/ninshin/sangoboshikea.html
通い(デイケア)型
通い型の産後ケアは、日帰りで施設(自治体が委託している病院や助産院)に通いながらママと赤ちゃんのケアを受けるスタイルです。 ケアの内容、対象者は宿泊型と同じです。サービスの内容も宿泊型をご参照ください。
訪問(アウトリーチ)型
在宅でママと赤ちゃんのケアを受けるスタイルです。
ケアの内容
・ 産婦の心身の健康管理、生活面の相談及び指導
・ 授乳方法 ・ 乳房手当、乳房トラブルケア
・ スキンケア ・ 在宅での子育てに関する相談及び指導
・ その他必要とする保健指導 ※医療行為を伴う手当等は行うことができません。
対象者
市内に住民登録がある、利用日時点で生後4か月未満の乳児及びその母親で、次のいずれかに当てはまる方が対象となります。
(1)産後に心身の不調又は育児不安等がある者
(2)家族等から十分な支援が受けられない者
サービスの内容
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/oyakokenko/ninshin/bonyuusoudan.html
産前産後ヘルパー派遣事業
こちらも多くの自治体で実施されています。産後の回復に不安のある方や、家事や育児の負担を軽減する必要がある世帯に対してのサービスになります。
ヘルパー事業は、家事全般(掃除、洗濯、料理)や赤ちゃんのお世話、兄弟のお世話など幅広いサービス内容があります。 自治体と提携しているヘルパー事業所に直接予約(いつ頃、何の依頼をしたいのか)して、その後区役所で申請書を提出するスタイルが多いようです。
事業所によってサービス内容が異なりますので、早めに比較しておくといいでしょう。 ヘルパー派遣事業は産前から利用が可能です。
乳幼児一時預かり事業
用事を済ませたい、少しだけリフレッシュしたいなど、子育て中は一時的に預かってほしいという場面が出てきます。そんな時、理由を問わず、就労の有無にかかわらず誰でも子供を預けることができます。対象年齢は0歳からOKのところもあれば、2歳〜など年齢制限を設けている施設もあります。
施設の検索は自治体のHPからできますので、「お住まいの地域 一時預かり」で検索すると良いでしょう。 里帰り出産等で住民票をおいていない地域でも利用できるのが魅力的です。
預かり時間について、横浜市の場合は、通常型が10時~15時までを含む8時間で、延長型が7時30分~8時30分までに開所して連続した11時間です。ただし、施設ごとに自主事業として預かりを行っている場合もあるそうなので、施設に直接相談するといいでしょう。(料金は異なります。)
料金について、横浜市は1回300円以下ですが、自治体によって異なりますのでこちらも自治体のHPでご確認ください。
民間の産後ケアの種類
最近はニュースでもよく民間の産後ケアが取り上げられていますね。種類も一昔前に比べて随分と増えたと思います。自治体が運営しているのに比べて助成制度がない分、費用はかかるものの、サービス内容が充実していたり融通が利きやすいのが特徴です。
産後ケアホテル
中国や韓国では当たり前のように利用されている産後ケアホテル。日本では少しづつ認知度は上がっているものの、施設の場所が都心部中心だったりとまだまだ課題はありそうです。
特徴として、病院とは違ったラグジュアリーな空間でママの心身をリラックスさせることができます。助産師や、専門のスタッフが24時間体制で常駐しているので、いつでも気軽に赤ちゃんを預けることも可能です。滞在中は家事をしなくていいし、夜間は赤ちゃんを預けてゆっくり眠ることができるので、ママの身体の回復にとてもいい環境です。2〜3週間とまとまった期間で滞在する人も多いそうです。
また、パパと一緒に沐浴を練習したり育児指導を行なっているホテルも多いので、育児の不安を解消し今後の生活に役立てることができるのも安心ですね。 そして口コミで最も多いのが食事が豪華ということ!おやつ、夜食を含む1日5食提供されるホテルが多く、栄養価も高い上にバリエーションも豊富で、何より美味しいととても話題です。
更にはオプションにはなりますが、ママを癒すサービスが充実しているのも特徴です。
ホテルによって内容は異なりますが主なサービス内容はこちらです。
【サービス一例】
- アロママッサージ
- 岩盤浴
- スパ
- 骨盤矯正
- 二ューボーンフォトサービス
自治体が運営している産後ケア事業とは異なり助成金は出ないため1泊3〜5万円程かかりますが、出産後の心と身体を癒す充実のサービスが満載です。自宅に戻ってからも元気に育児ができるように産後ケアホテルを頼ってみてはいかがでしょうか。
【産後ケアホテル一例】
- マームガーデン葉山 https://www.mom-garden.jp/
- HOTEL CAFUNE https://www.hotelcafune.com/
産後ドゥーラ
産後ドゥーラとは、産後ママと赤ちゃんのケアに加えて家事など生活の身の回りのお世話をしてくれます。 それぞれママのニーズに合わせ赤ちゃんの沐浴や育児の相談、調理、洗濯、掃除まで臨機応変なサポートをお願いできます。
昼間はママと赤ちゃんだけで過ごす人も多く、育児や家事の負担がママに行きがち。そして話し相手がいない事で孤独になりがちです。
産後ドゥーラはそんなママに寄り添う心強いサポーターです。 サポート料金は、1時間2,000〜4,000円前後ですが、 福利厚生サービス各社や、地域によっては自治体の助成対象になっていることがありますので、産後ドゥーラのHPで確認するといいでしょう。
【産後ドゥーラの一例】
- 一般社団法人 ドゥーラ協会 https://www.doulajapan.com/
- キッズライン https://kidsline.me/
- ポピンズシッター https://smartsitter.jp/beginner
まとめ
産後ママの心身ケアができ、育児不安を解消してくれる産後ケア施設をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
産後の身体は想像以上にボロボロです。一人で育児も家事も頑張ってしまうと、その後の回復に時間がかかったり、赤ちゃんのお世話に余裕がなくなり、愛おしい我が子に笑顔を向けることができなくなってしまいます。
周りに頼る人がいない時は、是非、自治体や民間のサービスを利用するのをおすすめします。
自治体の申請には、産前に面談があったり申請は窓口でしないといけなかったり色々条件がありますので、ご利用を検討されている方はぜひ、早め早めの下調べがおすすめです。
あなたの元に来てくれた赤ちゃんと家族が、笑顔になるための選択肢の一つとなれば幸いです。